プロペシア（Propecia）はアメリカのメルク社が開発した、フィナステリド（finasteride）を主成分とするAGA（男性型脱毛症）治療薬です。フィナステリドは元々、前立腺肥大の治療薬「プロスカー」として1992年にFDA（アメリカ食品医薬品局）認可のもと、発売が開始されました。その後の臨床試験でフィナステリドを服用した患者に多毛の副作用が認められた為、AGAに対する治験が本格的に行われ、1997年にはAGA治療薬としてFDAから認可が下りたという経緯があります。
今やAGA治療薬の代表格ともいえるプロペシアですが、服用しているのにイマイチ効果が感じられず、中には服用を中止してしまったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回はそんな方に読んで欲しい、プロペシアに対する正しい認識と使用方法等について具体例をあげながら解説していきたいと思います。
AGAとは
Androgenetic Alopeciaの略語で、日本語では男性型脱毛症と訳されます。AGAは主に成人男性に見られる前頭部や頭頂部、あるいはその両方から薄毛が進行していく症状を表します。AGAの症状に悩む男性はおよそ1300万人とも言われており、多くの男性がAGAによる薄毛の悩みを抱えています。AGAの原因物質はDHT（ジヒドロテストステロン）と呼ばれる悪玉ホルモンです。プロペシアはDHTの産生を阻害することにより、乱れたヘアサイクルを正常化し、AGAの進行を食い止めます。
プロペシア（フィナステリド）は日本・アメリカをはじめとする多くの国で安全性・有効性の高いAGA治療として用いられています。ただし、いくら効果の高い薬でも正しい方法で服用しなければ、本来の効果は発揮されません。
誤った方法でプロペシアを使用していませんか？
風邪を引いたときや何らかの病気で薬を処方してもらう際に、医師や薬剤師から服用方法等について指示があるかと思います。プロペシアも同様に服用についての定めがあり、正しい方法で服用しなければ十分な効果が期待できなくなってしまいます。また、個人輸入などで購入した偽造品を服用してしまい、効果が出なかったというケースも考えられます。
誤った服用方法の例
・プロペシアを飲み忘れたので次の日にまとめて2錠服用した
→プロペシアの服用は1日1回1錠と決められています。一度に多量服用しても効果が高まるわけではなく、前日の飲み忘れの補填ができるわけでもありません。もし前日に飲み忘れてしまっても、まとめて服用したりせず、決められた用量を守りましょう。また、飲み忘れを防ぐために、風呂上りや就寝前など、服用するタイミングを決めておくといいかもしれません。
・1、2ヶ月プロペシアを服用したが薄毛が改善しなかったので、一旦服用を中止した
→AGA治療全般に言えることですが、プロペシアを飲んだからといってすぐに薄毛が改善されるわけではありません。プロペシアの添付文書には「効果が確認できるまで通常６ヶ月の連日投与が必要」と記載があります。また、途中で服用を中止した場合、正常化しつつあったヘアサイクルが乱れてしまい、薄毛が再度進行してしまいます。
・安かったので個人輸入でプロペシアを購入し、服用した
→厚生労働省のホームページでは医薬品等の個人輸入に関して、「期待する効果が得られない場合がある」「人体に有害な物質が含まれている場合がある」「不衛生な場所、方法で製造されたものかもしれない」など注意喚起の文言が掲載されています。また、個人輸入等で購入したAGA治療薬は6割以上が偽物だったというデータもあります。プロペシアは有効成分のフィナステリドが十分な量含まれていなければ、本来の効果は期待できません。また、不衛生な環境下で製造された薬剤には、人体に健康被害をもたらす不純物などが混入している可能性もあり、効果が出ないどころか、甚大な健康被害を被る恐れもあります。
プロペシアは安全性・有効性の確立されたAGA治療薬です
プロペシアは現在、世界60ヶ国以上で使用され、日本でも2005年に厚生労働省からAGA治療薬として正式に認可されています。2017年度の日本皮膚科学会の定める「男性型脱毛症ガイドライン」では、フィナステリドの内服は推奨度Aランクとなっており、多くのRCT＝ランダム化比較試験（評価の偏りを避け、客観的な視点から治療効果を評価する非常に信頼性の高い研究試験）においてもその有効性が実証されています。
より効果的なAGA治療を行うために
プロペシアに限らず、AGA治療薬を服用される際は用法用量を守り、自らの判断で服用を中止せず、継続的に治療に取り組むことを心掛けましょう。また、安全性・有効性の高い治療を行う為には通販や個人輸入などでの薬剤の購入は避け、専門の医療機関やクリニックで医師の診察のもと処方を受けましょう。服用方法を遵守し、専門医のもとで適切な治療を継続すれば、プロペシアの効果を十分に実感できるとともに、もう「プロペシアが効かない」と感じることはなくなるでしょう。
